海に思いを馳せて

自分のテーマ/モットーを模索中 from Southampton

大学教育と将来

去年のファウンデーションのクラスメイトから、FBでメッセージがきた。

最初は元気?と聞かれたので、元気だけどそっちはどう?と返しあと、長い話になった。実はまだ話の途中で返事を返せていない。

クラスメイトをここでY氏と呼ぶことにする。

 

Y氏  人生腐ってるよ。ファウンデーションまたやり直すことになったんだ。

私  そうなんだ、サウサンプトンで?それなら、またどこかで会うかもね。

Y氏 うん、会えるといいね。ところで、実は今、勉強を続けるべきなのか、自分の国に帰って働くべきなのかを考えていて、悩んでる。

私  うーん、それは自分次第なんじゃない?でも、私はどちらもやってみる価値はあると思うよ、もし一生懸命やるなら。

Y氏 英語とか大っ嫌い。しんどい。

私  それなら、自分の国に帰ってもいいんじゃない?

Y氏 言いたいことはわかる。でも、帰ったあと何ができる?毎日たった400ポンドのために一生懸命働くの?

私  それが世の中だと思う。食べて生き延びたいなら、ごはんを買ってどこかに住むために働いてお金を稼ぐしかないじゃない。

Y氏 いや、言いたかったのは、単に少しのお金じゃ満足できないってこと。

私  あなたは何か勘違いしていないかな?なぜ選択肢が限られているの?別にUKでも自分の国じゃなくても、勉強するところや働くところはあるよ。

Y氏 どこで勉強したって一緒だと思うし、どこにいたって自分のやりたいように仕事なんてできないよ、だって大学を卒業していないし。

私  同じじゃないよ。もし自分の国で勉強したら、あなたの嫌いな英語を話さなくていい。それに努力なしでお金を稼ぐことはできないよ、犯罪以外。現実を見て、自分の欲しいものを達成するために努力した方がいい。でも、お金はお金でしかないよ。何に使いたいの?

Y氏 ひとつ聞いていいかな。君は大学ですごく勉強熱心だけど、大金を稼ぐためじゃないの?それとも単に習慣に過ぎないの?実はこれけっこう大きな悩みなんだ。お金は稼ぎたいけど、大卒の資格と知識がなければたくさん稼げない。だからここに来たけど、一度失敗してしまった。あと4年も勉強しなきゃいけない。自分が疑問に思っているのは、帰国して働くべきなのか、勉強すべきなのか。でも勉強にそんなに時間をかける価値があるのか。すごく悩んでる。時間があるときでいいから、返事が欲しい。ありがとう。

 

Y氏とのやりとりを踏まえて、私が大学で勉強する理由を考えてみた。

恥ずかしい話だけれど、大学で勉強できるという環境がすでに用意されていて、親が大学教育を経験したプロセスを当たり前にとらえ、それに習っただけだった。

もちろん、英国の大学、Southamptonを選んだことは、自分の選択だけれど、高校を卒業したあと大学に行くのが当たり前だと思っていた。高校も決して大学以外の選択肢の話もしなかったし、とにかく当然のことと思っていた。

自分の家族に何か不吉なことでもない限り、大学に行けるというという確信があった。

その前提で、高校を卒業したらどんなことをどんな環境で学びたいか、ということを考えた先に、日本からずーっと離れた土地の今の大学で社会学社会政策を勉強することを選んだ。

親のプロセスに習ったと先ほど書いたので、自分の親について考えてみる。もしかすると、父親が大学に行ったのは叔母の影響かもしれない。時代や家庭の事情で祖父母は大学に行っていない。でも、叔母は薬剤師になりたかったから大学教育が必要だった。父の今の職業も大学教育が必要といえば必要だけど、いつから今の職を考えたのか知らないし、叔母とは年が離れていたから、小学校のころから大学に通う叔母の姿を見て、大学教育を受けさせてもらえるのが当たり前と思っていたかもしれない。

 

なぜ就職や専門学校を選ばなかったのかって言われると、言い訳できるなら、もっと学びたいものがある、専門学校ではなく大学でしかできないことだから、と言うかもしれないけど、それは後付けの理由にすぎない。

もし、私が就職や専門学校という選択肢を知っていて、それを選んだら、親や周りの人はどう受け止めただろうか。わからない。私の知人の一人は、舞台芸術を学びたくて、日本では大学よりも専門学校の方が適しているから専門学校に行きたいと言うと親に反対された。米国では大学で学べるということで、米国の大学で舞台芸術を勉強することに。同じように私の親も反対しただろうか。

 

大学を卒業していないと、いわゆる高額収入の職には就けないという。

たしかにそれは事実かもしれない。大学で経験したことが就職後の仕事のパフォーマンスに直結するとは限らないが、でも雇用主がより教養のある人や経験のある人を雇いたい気持ちはわかる。その方が、会社の利益につながる可能性が高いと考えられるからだろう。実際つながるかどうかはわからないけれど。

 

大学教育を受けていない人は、少ないお給料の仕事に就くしかないのだろうか。

少ないお給料の仕事であれ、それぞれ価値はあると思う。ただ、資本主義経済で生きる私たちは、職業や物すべてに差をつけ、価値を決めないといけない。その差を生み出すものが、商品だと目新しさやクオリティであったり、人間のお仕事なら能力やスキル、パフォーマンスで、後者の差を図る物差しのひとつが「学歴」となっているのかもしれない。

Y氏にも言ったが、大学に行って、その「学歴」という物差しで有利に就職を促し、実際に働き、高額のお給料を手にして、そしてどうするのか。

私だったら、健康で文化的な生活を営むための食べるもの・住む場所・着るもの、そして、より美味しい食べ物や素敵な服、そして、旅行、本やインターネット、芸術鑑賞といった娯楽にお金を使う。もし大学院でさらに勉強したいなら、修士もしくは博士課程に必要なお金を貯金しておく。

結局は将来どんな仕事でお金を得て、そのお金をどう使って、どんな生活を営みたいかだと思う。

たしかに、大学で勉強もしたくないのに勉強しなきゃいけないのはあほらしいかもしれない。楽しくもないし、お金と時間を無駄にしているように感じるだろう。大学で何を学ぶかも大事だ。学びたいものがない、ならどんな仕事でお金を得たいのか。つきたい職業に有利になるようなことを勉強するのは大いにありだと思うし、やればいいと思う。それもわからないなら、とにかくいろんなフィールドを見てみる。自分が気に入ったものがあれば、それをやればいいし、特になければ何か一つ、そんなに悪くないな、って思うものを選んで、とにかくコンプリートすることを目標にやればいい。勉強して損するものなんてない。仕事や生活に直接反映はしないかもしれないけど、どこかで結びついてるかもしれない。

 

Y氏の場合は、Y氏の親がY氏に大学教育を受けさせてあげられるお金がある。だから、大学を続けるべきかどうか、悩むことができる。

正直言うと、贅沢な悩みだなとも思っちゃったりするけど、大学教育や就職について、ふだんそこまで考えないようなこととか、社会がどんな風に人を分けているのか、それはなんでなのか、いろいろ考えることができた。

Y氏がもしお金持ちじゃなくて、いわゆるsocial classの下層部の人だったらどうだっただろう。考えて考えて考えて、結局返事を書くことを諦めたかもしれない。わからない。

また、学術的にも、そうでなくとも、いろんな問題に少し考える時間を割いてみたい。